フルローン、オーバーローンで失敗

最近ではあまり見かけなくなりましたが、サラリーマン大家さんブームが最盛期の頃は、億を超える大型RC物件をフルローンで手に入れて、一発でファイナンシャルフリーになろう!というような宣伝をよく見かけたものです。



そのような宣伝をしている人たちは、自分の本や情報を売って儲けているわけで、実際に自分で億の物件をフルローンで購入しているとはとても思えません。だって、自分の書いていることが机上の空論だと分かっているからです。

積算価格至上主義の頃、あるサラリーマンが冒頭の宣伝に踊らされて大型RC物件を購入しました。そのころはまだ積算価格さえ出れば、フルローンやオーバーローンでの融資も可能な銀行がたくさんある時代でした。

物件価格1億円、融資期間は30年、利率は3.0%(便宜上固定とします)で購入。毎年の返済額は500万円ほどになります。年間家賃収入は満室で1000万円です。単純に表面利回りは10%です。

ここまでの話だと、手元に毎年500万円残ることになりますので、十分生活することもできます。

しかし、実際にはここから税金が引かれますし、日々の経費や修繕費用も発生してきますので、決して楽観できる数字ではないことがすぐに分かると思います。

さらに、空室率や家賃の下落率を考えると、かなりギリギリな運営状態が続くことが予想されます。ちょっとでも空室が増えればたちまちマイナスのキャッシュフローに陥ってしまうでしょう。

いま全国の平均空室率は約20%ですので、これを先ほどの例に当てはめると、年間1000万円の80%、つまり800万円が実際に得られる家賃収入といえます。

さらに、一般的に賃貸事業にかかる税金等の費用は約20%といわれていますので、年間800万円の80%、つまり640万円が最終的な実際の家賃収入といえます。

どうです?かなりギリギリな数字といえませんか?これに、家賃の下落率が加わってくると、ちょっと空室が増えただけでマイナスのキャッシュフローになってしまいます。

サラリーマンは、それでも何とか物件を維持し続けてきましたが、いつも空室に怯え、心休まる時がありません。そのうちだんだんと心を病むようになってきました。

さらに追い打ちを掛けるように物件のあちこちが痛み始め、予想外の修繕費が発生してしまい、ついには融資の返済が滞るようになりました。

大型のRC物件は、修繕も大規模になることが多く、非常に高額の修繕費が必要になってきます

よほど計画的に修繕費を積み立てておかないと、将来の修繕ができずに建物がさらに傷んでしまい、空室が増加するという負のスパイラルに陥ってしまいます。

売却するにしても、億を超えるような物件はなかなか買い手が見つからず、さらに今は大型物件にフルローンをつけてくれる銀行はほとんどありませんので、買い手が見つかってもローンが付かずに売却できないといった可能性も非常に高くなっています。

結局サラリーマンの物件は競売にかかってしまい、自分自身も自己破産したうえに心を病んでしまうという最悪の結末になりました。

フルローンやオーバーローンで物件を購入することが全て悪かといえば、必ずしも悪とはいえません。

しかし、非常にリスキーな投資方法であることにはかわりなく、よほど条件が良い物件か、豊富な自己資金を持っている以外は安易に利用しないことです。

それと、RC物件は融資期間が長く取れるため、冒頭の宣伝のような数字のトリックが使いやすく、積算価格も高くなりがちですので、個人でも億の投資ができると勘違いしやすいのです


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