デットクロス到来でキャッシュフローがマイナス

不動産投資をする場合、ほとんどの方は融資を利用すると思います。その融資の返済方法によって、キャッシュフローが大きく変わってきます。

ここでは、安易に返済方法を選択してしまったために失敗した投資家の例を見てみましょう。

融資の返済方法として、一般的に『元利均等返済』と『元金均等返済』の2種類があります。似ているので間違えないようにしてください。

元利均等返済というのは、毎月の返済額が一定になるように、元金と利息の割合を調整して返済していく方式です。

元金均等返済というのは、毎月一定額の元金を返済し、それに利息が上乗せされる返済方式で、返済が進めば進むほど毎月の返済額は減少していきます。

一般的に元金均等返済の方が総支払額が少なくなるのですが、返済初期は返済額が大きくなってしまうデメリットがあります。

それに対して元利均等返済は、総支払額は大きくなるものの、毎月の返済額が一定のため返済計画が立てやすくなるというメリットがあるのと、返済初期の頃は、返済額に占める利息の割合が多いため経費がたくさん取れるというメリットもあります。

あるサラリーマンが、返済額が一定で事業計画が立てやすいのと、初期に経費がたくさんとれるということで、元利均等返済方式で融資を受けました。

融資の条件は、借入額5000万円、融資期間30年、利率3.0%(便宜上固定とします)です。

下図のシミュレーション結果を見ていただければ分かると思いますが、返済初期は元利均等返済の方がかなり返済額が少ないにもかかわらず、利息はほとんど差がありません。つまり、手元に残るキャッシュが、元利均等返済の方が多いということになります。


●返済初期



●返済10年後

次に10年後を見てみましょう。年間の返済額の差がだいぶ縮まってきました。それでもまだ元利均等返済の方が利息も多く返済元金が少ないため、手元に多くキャッシュが残ることになります。




●返済20年後

次に20年後を見てみましょう。年間の返済額が元利金等返済の方がだいぶ多くなってきました。返済元金も元金均等返済を上回るようになってきています。こうなってくると、手元に残るキャッシュは元金均等返済の方が多くなってきます




丁度このころ、返済元金が減価償却費を上回るようになってきました。これがいわゆる『デットクロス』とよばれるものです。

実際に現金は出ていかないのに経費にできる減価償却費よりも、実際に現金が出ていくのに経費にできない返済元金が上回ってしまうのです。


●返済30年後

最後に30年後を見てみましょう。もう元利均等返済は、年間の返済額のほとんどが返済元金となってしまっており、さらに減価償却も切れてしまっているでしょうから、キャッシュフローは相当悪化している状態が容易に想像できます。




上記のシミュレーションを見てそんなに差は無いと感じられた方は要注意です。

年々、経費にできる利息部分は減っていくのに、経費にできない返済元金部分は増加していくため、返済のため手元に現金が残らないのに帳簿上の所得だけが増えていくことになります

当然建物も年々古くなるため、修繕費もかさんできたり空室が目立ったり家賃も下落してきたりします。つまり、年々建物の状態も悪くなっていくのです。

建物の状態が悪くなってもキャッシュフローの状態が悪いため修繕ができずに、さらにキャッシュフローの悪化を招くといった負のスパイラルに落ちる可能性が高いのです。

さらに追い打ちを掛けるように、儲けが出なくなったから売ろうと思っても、元利均等返済は元金の減少が少ないため、多額の元金が残ってしまっている状態になります。

シミュレーション10年目の元金残高を見てみると、元利金等返済と元金均等返済ではすでに500万円もの差ができています

売却で残りの借金を精算しようとしても、元利均等返済のほうがより高値で売却しなければならなくなるので、売却も思うようにできなくなる可能性がでてくるのです。

最終的にこのサラリーマンはデットクロス以降、キャッシュフローが急速に悪化したため、融資の返済が滞るようになり売却を試みました。

しかし、借金の残債の関係で市場価格より高い金額で売りに出すしかなく、当然売却に失敗し、最終的に差し押さえられて競売に掛かり、自分自身も自己破産してしまいました。

長期の視点に立って、慎重に返済方法の選択をするべきだったといえます。


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